一緒に願うのは、

何でもない、くだらないこと。




























共に願い。




























「頭が良くなりますように!!」

「…何だ、それは。」


部活も終わり、辺りも随分と暗くなった時間。

いつものように並んで帰る道。

綺麗に晴れた空の上、一瞬目に映った光を見て思わずそう叫んだ俺の背に、

呆れたような手塚の声がかかった。


「流れ星!見なかった?」

「いや、見えなかったが…。」

「残念!んじゃー頭が良くなるのは俺だけだねー!!」


うひひ、と笑って振り返ると、

声の通り呆れた表情をして手塚がペースもそのままに歩いている。


「もっとないのか、お前は…。」

「ないよ?」


置いて行かれないように歩きながら言うと、少しだけ手塚の眉間にしわが寄った。

不機嫌っていうよりも、ちょっと残念そうな感じ。


「だってさぁ、他に願い事なんてないし。」


足を止めて俺を見る手塚に、俺はわざとにこやかに笑った。


「例えば、テニスが上手くなりたい、とか。」


それは願う事じゃない。

星に願って、叶えてもらっても嬉しくない。

それは、自分でやって、上手くなるからこそ。

だから、願いたくない。


「例えば、昔に戻ってやり直したい、とか。」


でもね、俺は昔になんて戻りたくないんだ。

だって、絶対に俺は同じ事するよ。

同じように過ごして、同じように笑って、時たま泣いて。

だから、戻りたくなんてない。


「例えば…ずっと一緒にいたい、とか。」


そこで言葉を止めてじっと手塚を見ると、手塚は少し戸惑うような表情をした。

にへ、と笑ってみせると、手塚は小さく息を吐いて俺のおでこを軽く小突く。


だってさ、こんな大事な願い事、星になんか託したくないし。

星のおかげで叶ったなんて、思いたくないし。

それに…


「これ全部、お願いする事じゃないっしょ?自分で叶えることが殆どでしょ?

 だから、俺は楽して頭が良くなりたい訳よ。」

「…お前らしいな。」


小突かれたところを掌で押さえながらそう言い終わると、

手塚は小さく笑って頷いた。


「手塚は?もし手塚が流れ星見てたとしたら、何を願う?」

「そうだな…だったら俺も、お前の頭が良くなることでも願っておこうか。」

「うおい!俺のこと馬鹿だと思ってんのか!!」

「どうだかな。」

「手塚ーーーーー!!!!!」





最後の願いだけはさ、星じゃなくて、手塚に叶えてもらうもの、でしょ?


だがら一緒に願うのは、くだらないことで良い。










了。




2005-05-23 書き直し。
ちょっと書き換えました。ミスでデーター飛んでたんです…!!
リンクミス教えて下さった方、ありがとうございました!!