一瞬の違和感。

そこから聞こえたのは、悲鳴。




























共に泣き。




























どうすれば止まるのかすらわからない程流れてゆくソレ。

いっそ恐怖すら感じる程のソレ。

とめどなくとめどなく、身体中の水分がなくなってしまう位に。

背中にしがみついて、服をぎゅっと掴んで。

周りの視線なんか、気にならない。

小さい子供みたいに泣きじゃくった。

ラケットを振り上げていた手が下ろされる。

トントン…と軽い音をたてて黄色いボールが地に落ちた。

それまで騒がしかった場が、一瞬にして無音になる。


「エージ先輩…?」


焦ったような、驚いたような桃の声が正面から聞こえる。

当然かな。だって今は部活中だから。

突然理由も告げず背中にしがみついて泣いたら、誰だって驚く。

それも、相手が普段から仲がイイように見えるヤツじゃなかったら、尚更。

けど、きっとお前は気付たんだろうな。


「菊丸。」


桃とは違う、酷く落ち着いた…でも少し困ったような声が聞こえる。

普段なら眉間に皺を増やして「グラウンド10周!!」って言ってもおかしくないコイツが

こんな声をするのは珍しいからきっと部員も驚いてるんだろうけど、

しがみついてる俺にはそれが確認できないから、少し残念。


「菊丸、泣き止め。」


振り向かずに、そいつは言う。

強制じゃなく、少し柔らかいトーンで。


「菊丸。」


もう一度呼ばれた名に、俺は首を左右に振った。

情けない程に声を上げて、俺は泣く。

言葉にならない音を上げて、俺は泣く。

一度小さく息を吐いて、そいつはそのまま立っている。


おそらく無意識に一瞬かばったそれ。

本当に、俺の動体視力を駆使してやっと気付くレベルのそれ。

注意して、注意して、注意して見付けて、確信したそれ。

教えて欲しかったなんて言わない。

泣けばいいなんて言わない。

けれど、見付けてしまったから、


俺は、泣く。

絶対泣けないお前と、お前にしがみついて、一緒に泣く。










了。




うー…避けてきたネタでした。ちょっと悔しい。

他のサイトさんにも沢山あるし、今更かなーと思って避けてたんですが…。

まぁ、お祝いに…というか、他にネタが見つからなくて…!!!!(汗)