ふと目に付いたそれ。

青の。

赤の。

マグカップ。




























共に選び。




























「手塚手塚手塚ーーーー!!!!」


バタバタと騒がしい音をたてながら大声で名を呼ばれ、

少しため息を付きながら手塚は後ろを振り返る。

勢いよく抱き付いてきた恋人を抱きとめながら彼の頭を軽く叩いた。


「菊丸、廊下を走るな。」

「ん?ぁ、ゴメンゴメン。」


軽く謝りながら腕を放して、英二は楽しそうに手塚を見上げる。


「な、今時間ある?」


まだ昼休憩が始まって間もない時間。

珍しく生徒会も部の仕事もないので、昼食さえ食べてしまえば時間はある。

そう考えて手塚は頷く事で返事を返した。


「うし!んじゃ、俺に付き合ってよ。弁当持って待ってろよ!!」


迎えに行くかんねー!!そう叫びながら英二は自分の教室へ駆け戻って行く。

走るなと言ったんだが…そう思いながら手塚も昼食を取りに教室へと足を速めた。




























「手ー塚っ!行こっ!!」


にこにこと微笑みながら顔を覗かせた英二を確認して、手塚は席を立つ。

少々足早に英二の元へ行けば、彼の手には弁当箱の入っている袋ともう一つ。

少し疑問に思いながらも楽しそうに引っぱる英二に抵抗もせず付いて行った。

だんだんと人気のない方へ向かって行き、着いたのは屋上へと続く扉のある踊り場。

屋上へは鍵が閉まっていて行く事はできないが、

4階からも死角になっているそこは絶好のサボり場だと以前英二が話していた場所。

一番上の段に腰掛けて英二は隣をぺしぺしと叩いた。

どうやら座れと言いたいらしい。

一度ため息をついて、手塚も英二の隣に腰を下ろす。

何だかんだ言って、逆らう気などさらさらないのだが。

二人で階段に座って弁当を広げたところで、英二が持っていたもう一つの袋を手塚に手渡した。


「何だ?」


嬉しそうに微笑みながら、英二に中身を言う様子もない。

首を傾げながら袋を開く。


「マグカップ…?」


出てきたのは、青い色のマグカップ。

少し深い色の、飲み口の裏に同色のドットが1つある少し大きめのもの。


「昨日買い物行ってさ、なんか手塚にーって思って。」


思わず買っちゃったよ。

そう英二は照れたように言った。

何度かマグカップをくるくると回す手塚に、英二は不安げに顔を覗き込む。


「あっと…迷惑、だった?」

「いや…。」


込み上げる笑いを何とか我慢しながら、手塚は英二の髪を撫でた。

手塚の表情を確認した英二は、訳が分からなくて首を傾げる。

何?

目で訴えてくる英二に苦笑を漏らしながら手塚はありがとう、と礼を言い、


「俺もお前に渡したいものがある。」


そう言って微笑んだ。





「手塚、これ…!!」


放課後に家で渡したのは、赤色のそれ。










了。




ボクらはいつも以心電信♪(違)

この場所はうちの中学の絶好の弁当ポイントでした。

小中高と屋上に上がれなかったので屋上って憧れの場所です。でもあえて外す。寒いし。(笑)