繋がるのは、掌。

寄り添うのは、影。




























共に歩き。




























「菊丸。」

「大丈夫大丈夫。」


久しぶりに一緒に帰る道。

道路脇にあるブロックの上を延々と歩く菊丸に声をかける。

平気だと言いながらも時々よたよたとふらついている右腕を少し強く掴んだ。


「危ないだろう。」

「んー?心配性だなー手塚は。」


にへ、と笑いながらそう言って、菊丸はブロックから飛び降りて俺の横に並ぶ。

その腕をもう一度掴んで、反対側へ菊丸の身体を移動させた。


「手塚?」


不思議そうに俺を見上げる菊丸の頭に一度手を置く。


「危ないだろう。」


そう言って俺は菊丸の頭から手を下ろし、歩き出した。

少し呆然とした後、意味に気付いたらしい菊丸が慌てて俺の後を追ってくる。


「紳士だねー。でも、60点!」

「60点?」


嬉しそうに笑いながら俺の右横に並んだ菊丸はわざとらしく眉間にしわを寄せてそう言った。

意味がよくわからず俺が聞き返すと、菊丸はいかにも、というように偉そうにふんぞり返って人差し指を立てる。


「そ。女の子は脆くて弱いんだぞー?腕掴んだら痛いだろ。

 肩を引き寄せたら100点満点だよん。」


まだまだだね、国光君。

越前よろしくそう言って、菊丸は俺に向かってにんまりと笑った。


「つーか、俺女役?」


そこまで言って、はたと気付いたように菊丸は口を尖らせる。

それに少し苦笑を返したときに目の端に映ったものを確認し、

不満げに俺を見上げる菊丸の肩をグイ、と引き寄せた。

その直後、自転車が菊丸の横を通り過ぎる。


「俺が心配なだけだ。」


俺がそう言って肩を引き寄せた手を離すと、菊丸は少し照れたように笑った。


「…心配性だなー手塚は。」


そして、離した俺の左手を菊丸の右手がぎゅ、と握る。

驚いて俺が菊丸を見ると、照れたままの少し赤い頬でにへ、と笑った。


「帰ろ。」


手を繋いだまま、左横にいる菊丸が一歩、足を踏み出す。


「あぁ。」


一歩分前に進んだ菊丸の所為で影が寄り添っているように見えて、少しだけ微笑んだ。










終。






道路脇は危ないぞ、と。