だってさ、特別な日だから。

特別なことがしたいから。




























いちばん。




























「お邪魔します!!」

「ただ今帰りました。」

「お帰りなさい、国光。いらっしゃい、英二君。」


手塚の母親である彩菜さんに笑顔で迎えられて、俺も笑顔を返す。

10月7日木曜日。

今日は、俺の大切な人が生まれた日。

本当は誰よりも先に会って「おめでとう!」って言ってあげたかったけど、

まだ中学生で今日までテストだった俺達に、等の手塚本人が許してくれるはずもなくて…

当日の今日、泊まりに来るという妥協策で渋々了承した。

でもでもでもさ。やっぱり、特別な誕生日にしたいじゃん。

特別なおめでとうを言いたいじゃん。

だから、悩んだ末の苦肉の策を、ただ今実行中。


「さ、着替えていらっしゃい。お祝いしましょう。」


にこりとした微笑みに促されて、俺達は部屋へ向かった。


「お前は何を企んでいるんだ?」


部屋に着くなりこの言葉。

酷いなー。頑張って考えたのに。


「内緒!」


にんまりと笑顔を返せば俺がそれ以上は言う気がないのを手塚は知ってる。

だから、ため息を付いただけでそれ以上は何も聞かれなかった。

ホント、物わかりのいい彼氏で助かります。

心の中だけでこっそりと感謝に手を合わせた。


「行くぞ。」


着替え終わった手塚が俺を促す。

慌てて立ち上げると、手塚の目尻が少しだけ下がった。

微々たる変化だけど、凄く嬉しい変化。

俺はそれに気を良くして、居間まで手塚の腕に自分の腕を絡めて歩いた。





俺が実行中の苦肉の策は、ただ一言を言わないこと。

『誕生日おめでとう。』

その一言を。

そして、特別のおめでとうを伝えるんだ。





「…英二。」


家族と一緒に祝わせて貰って、お風呂に入って、歯磨きもして。

明日からは朝練もあるから、そろそろ寝よう!って時間。

部屋に帰るなりぎゅっと抱きついて離れない俺に、手塚は困ったような声をかけた。


「もうちょい。」


ぎゅーっと抱きつきながら、手塚の肩越しに秒針が0になるのを待つ。

0になったのを確認して、俺は手塚から離れた。

3分前。

不思議そうに俺を見る手塚に苦笑を返して、俺は荷物の中から小さな包みを取り出す。

オレンジの箱に、赤いリボン。

勿論、プレゼント。


「あんね、手塚。」


俺は手塚に向き直って、手塚の目を見つめて言葉を紡いだ。

それに合わせて、手塚も俺の目を見る。


「今俺の目の前に手塚がいるのってさ、彩菜さんと国晴さんのお陰でしょ。もっと言えば、国一爺ちゃんのお陰。

 だからね、今すっごい幸せだから、凄く感謝してる。

 手塚にも。俺の手を取ってくれて、凄く嬉しかった。」


2分前。

手塚は複雑そうな顔で俺を見ていた。

別れ話っぽいからかな?


「ありがとう、手塚。」


俺がそこまで言うと、腕を引き寄せられる。

ぽすりと胸に抱き込まれたけど、時間がない。

ゆっくりと腕を伸ばして身体を離した。

1分前。


「英…」

「大好きだよ、手塚。これからもずっと、ずーっとね。

 …誕生日おめでとう。」


言葉と同時に戸惑っているような手塚に最高の笑顔とプレゼントを手渡す。

その直後、


ピピッ。


手塚の誕生日の終了を告げる電子音が鳴った。


「最初が無理なら、最後におめでとうを言うのは俺だかんね。」

「ありがとう、英二。」


そう言ってにいっと笑った俺に、手塚は柔らかい笑顔を向ける。





最初が無理なら、せめて一番最後に。

とにかく、一番の誕生日のお祝いを。

大好きな、君に。





「ところで…。」

「ん?」

「抱きしめても良いだろうか?」


先程やんわりと拒否したことを少し気にしている様子の手塚に、

ちょっとだけ吹き出して、ぎゅっと抱きついた。





「誕生日おめでとう!!手塚!!」










了。






+言い訳+

ハッピーバースデー!手塚!!!第二弾。
これを打ってるとき、終了する直前にパソが止まりやがりました。
ラブらせてたのに、なんの嫌がらせだい?国光君。
せっかく間に合うと思ったのに…!!んもう。
昨日といい今日といい、嫉妬が過ぎるぞ★(何)
とにかく、ハピバ!!
おめっとさん♪

2004-10-08 茶瓜。