君を守る為に

たった一人の標的を

この手で倒す為に

俺は 生きてきた




























夢十夜

     −第八夜 吸血鬼狂詩曲 〜バンパイア・ラプソディー〜−



























こんな夢を見た。


嗚呼 美しく咲き乱れる大輪の薔薇よ

我に祝福を

我に栄光を授け給え

花弁のように散った

彼の人の緋色の鮮血

呻き声と

断末魔の小さな叫びが上がる時

我は幸福に身を震わせるだろう

今宵こそ彼の人を我が物に

我と同じ

暗黒の世界の者に・・・




























「ギャァァァ――――――――――ッ!!!」


鋭い叫び声と共に

男は後ろに仰け反り

そして倒れた

胸に突き刺さった十字を模った杭が

男の身を

骨を

まるで燃え滾る灼熱の炎のように溶かしてゆく

鼻につく酷い臭いが辺りに充満し

俺は思わず白い手袋を嵌めた右手で

無防備な鼻を覆った


「さらば・・・哀れな吸血鬼・・・」


俺は右手で十字を切ると

その侭その場所を後にする

真夜中の路地裏

辺りには人どころか

猫一匹いやしない

ふと俺は立ち止まり

建物の間から少し覗く

黄金色の月を見上げた


「・・・全てを見ているのは、この満月くらいのものだな。」


誰も俺を見ていない

誰も 俺の存在を知らない

すれ違う人も

立ち止まる人も

誰も

俺のことを覚えてなんかいない

俺は いない人なのだ

そして俺は満月の度

任務を遂行する

たった一人の標的を倒す為に


「英二・・・」


俺は胸にかけている十字架をそっと握り

愛しい人の名を呼んだ

もうすぐだ

もうすぐで俺は

君の仇を取ることが出来る




























その昔

世界最強と謳われた

美しい吸血鬼が居た

彼は満月ごとに人々を襲い

甘い言葉と

その美貌で相手を狂わせ

生き血を啜った

現場に残るのは

冷たくなった亡骸と

血のように散る

紅い花弁

英二と俺は幼馴染

幼い頃からずっと一緒に育って来た

そしていつからか

互いに相手を想うようになり

俺達は 結婚を約束する仲になった

彼の父はバンパイアハンター

要するに吸血鬼を退治する仕事に就いており

最強の吸血鬼と呼ばれる彼を倒す為

彼の手下の吸血鬼と

毎日のように戦っていた

彼を倒す為には

手下の吸血鬼を千人倒さなければならないと言われている

その為英二はとても吸血鬼に詳しく

俺に色々なことを教えてくれた

吸血鬼から身を守る為には十字架が一番であること

特にバンパイアハンターが所持する十字架は効力が強く

弱い吸血鬼なら近づくことさえ出来ない

強い吸血鬼でも

触れるのがやっとだと言う

だから

吸血鬼はバンパイアハンターを殺すことが出来ない

傷つけることは出来ても

大抵返り討ちに遭ってしまう

しかし 彼だけは別だ

彼にとってはバンパイアハンターもそうでない人間も同じ

千人以上吸血鬼を倒した

Sランクのハンターでなければ

彼を倒すことなど到底出来ない

そして 英二はこうも言っていた


「絶対に、吸血鬼を信じちゃ駄目。」


吸血鬼に血を吸われた人間は

殆どがその侭死んでしまう

しかし ごく僅かな可能性ではあるけれど

一旦死んだ後吸血鬼として転生する場合もあるのだ

だから

もしも自分の知っている人が吸血鬼になってしまったとしたら

例えそれが自分の親や子であっても

絶対に信用してはいけない

そうでなければ

油断した隙に殺されてしまう


「もし・・・俺が吸血鬼になったとしても、ね?」


英二はそう言って

俺の頬に優しくキスをした




























そしてある満月の夜

悲劇は起こった

英二の父が

丁度八百人目の吸血鬼を倒した後

亡くなったのだ

その亡骸は

まるで鮮血を浴びたかのように

深紅の薔薇の花弁で

紅く染められていた

英二の父は

彼の最強と言われた吸血鬼

彼に殺されたのだ





その数日後

英二は失踪した

俺に残されていたのは

一通の置手紙と

鈍く光る十字架のネックレス



俺は 親の仇を取りに行きます

絶対に探さないで

俺の代わりに

この十字架を置いて行きます

お父さんの形見だから

きっと 手塚を守ってくれるよ

愛してる




























それから月日は流れ

未だ 英二は帰って来ない

あれから

二十年もの時が経ったというのに


「・・・英二」


二十年の間

俺は必死で英二を探した

しかし

どの街でも

どの国に行っても

英二を見つけることは出来なかった

そして俺は彼の吸血鬼に復讐する為

君の仇を取る為

バンパイアハンターとして生きる道を選んだ

英二の残してくれた十字架を片手に

今日も俺は闇の道を歩いて行く

温かい家庭を築く

そんなことを夢見たこともあった

君と二人

幸福に包まれた

贅沢ではないけれど満ち足りた暮らし

しかし

それも夢で終わった

今この胸にあるのは

燃え滾る炎のような

揺るぐことなき

強い復讐心

身も 心も

骨さえも

一瞬で焼き尽くす程の

深い憎しみ

そして

君への愛

俺は君を守る為に

そして

たった一人の標的を

この手で殺すために

生きているのだ

棘の道を

たった一人で




























そしてある日

遂に俺は仲間の一人から

彼が住んでいると言われる城の情報を入手した

ある国の小さな村の奥深く

鬱蒼と茂る深い森のその又奥に

吸血鬼の城がある

そしてその中には

五百人の彼の手下と

彼が最も気に入っている

生け贄を囲う為の牢屋があるという

もしかしたら

其処に英二も居るのではないだろうか

俺の身体は期待と喜びで

大きく震えた

武者震いとでも言えばいいのだろうか

やっと

やっとこの想いを遂げることが出来る









そして満月の夜

俺は向かった

最強の吸血鬼の眠る城に・・・









「ぐわあぁぁぁぁぁっ!!!!!」


九百九十七


「ひぃぃぃぃっ!!!!」


九百九十八


「がは・・・・・っ!!!」


九百九十九・・・


「次は・・・お前か。」


これで二百人目

俺は鋭く尖った杭の先を

目の前の男に突きつけた


「ちょ、ちょっと待て!!!!」


男は急いで後ずさり

蒼褪めた顔で

必死にこう言った


「取引きをしようじゃないか!!俺を殺さずに居てくれたら、

 お前をあの方のところへ連れて行ってやる。勿論無傷で、だ。

 此処の先にだって吸血鬼は山程居る。しかも今倒した奴等とは

 桁違いな強さだ。・・・どうだ?取引きをしようじゃないか。

 お前だって絶対に損はしない・・・」


英二の顔が

笑顔が頭を過ぎった

君のその笑顔を奪った

憎い 憎い

吸血鬼共


「悪いが・・・・断る!!!」


俺は最後の標的に向かい

両手を振り上げると

その白い喉に

思い切り杭を打ちたてた


「ぎゃぁぁぁ・・・・・・っ!!!!!」


鮮血が迸る

シューシューと肉を焼くような音が響く

耳を劈くような断末魔の叫びを上げて

吸血鬼は消滅した

燃え残ったのは

一握りの灰だけである


「・・・吸血鬼は信じるな、と教えられているのでな。」


その灰を拾い上げ

俺は唇の端を少しだけ擡げた


「それに・・・お前で二百人目だ。」











城の最上階

其処に彼の寝室がある

俺は果てしなく続く螺旋階段を上りながら

次々と吸血鬼を倒していった

身体の奥から

力が湧き上がってくる

悪を倒し

君を守る

そうだ その為に俺は生まれたのだ

長い長い螺旋が

ようやく終わろうとしている

最後の段を力強く蹴ると

俺は最上階に続くドアノブを握り締め

突き破るように思い切りその扉を押した


「覚悟しろ!!!」


体勢を立て直し

杭を持った手を空に掲げる

しかし
部屋は殺風景でがらんどう

丸い天窓が開け放してあり

其処からは丁度眩しい満月が顔を覗かせていた


「此処は・・・」


ふと部屋の隅に目を遣ると

あまり大きくない

黒い棺桶が鎮座してある

俺はごくりと生唾を飲んだ

あの中に

彼の吸血鬼が・・・


「・・・やっと逢えた、か・・・・」


一歩ずつ慎重に近づいていく

震える手で棺桶を撫でるが

中からは息遣いさえ感じられない

唯 伝わってくるのは

骨までも凍りつくような冷たさだけだ

深く息を吸い込む

俺がやらねば

俺がやらねば誰がやるのだ

いや 誰もいやしない

これが出来るのは

俺だけなのだ

そう自分に言い聞かせながら

俺は両手で棺桶の蓋を掴むと

思い切り押し上げた





月明かりに照らされた部屋

がらんどう

誰もいない 部屋

俺は棺桶の中を見つめた侭

瞬きさえも出来ずにいた

棺桶の中に居たのは


「・・・・英、二・・・・・・・・?」


夢にまで見た

愛しい君・・・


俺は我が目を疑った

何故

何故英二が此処に・・・?

白い肌

紅い髪

穏やかな 寝顔

そして

二十年前と

全く代わらぬその姿・・・

俺は杭と共に振り上げていた右手を

力なく降ろし

それとは逆の手で

そっと

君の頬に触れた

長い睫毛が

切なく震える

月が動き

君の顔に俺の影を落とした

涙でぼやけた君の顔が

少しだけ歪んだかと思うと

英二はその深い翡翠の色をした双眸を

音もなくぱちりと開いた


「て・・・・づか・・・・」


囁くように紡がれたその言葉

それを聞くと同時に

俺は君を

ひしと抱きしめていた

冷たい身体

もう伝わっては来ない

君の温もり

涙を流す俺に気付いたのか

力の篭らぬ手で

そっと俺の背中を撫でてくれた


「英二・・・・っ」

「て、づか・・・・・」


俺は英二の頬に両手を当てると

その未だあどけない色をした唇に

そっと唇を重ねた


「英二・・・」


俺はゆっくりと君を離すと

さっきまで重ねられていた唇を

そっと指でなぞった

英二は悲しそうな微笑を浮かべ

俺を見つめている


「俺を・・・殺しに来たんでしょ・・・?」


英二は掠れた声で

そう言った


「・・・そうなんでしょ?」


俺は何も言わず

小さく頷くと

聞こえない程小さな声で

ごめん と告げた


「手塚・・・ちゃんと・・・探しちゃ駄目、って・・・言ったのに・・・」


英二の瞳から

大粒の涙が零れる


「仇討つって言って出て行ったのに・・・こんな風になっちゃって・・・・」

「英二・・・・」

「こんな姿・・・・見られたくなかった」


透き通るように蒼白い肌

長く伏せられた睫毛

棺桶から上半身を出しただけの英二の姿は

この世の者とは思えない程に美しかった





最強の吸血鬼は

千年に一度転生しなければならない

その時に捧げられる最高の生け贄に

その身を移すのだ

二十年前

彼は転生に必要な生け贄を

各地で探し回って

英二は家を出て直ぐ

彼の手下に捕まり

転生の時の生け贄として

彼の餌食になってしまった

今の英二の身体には

彼の生命も宿っている

今は転生直後の為

英二の思考や行動に

彼が口出ししてくることはない

しかし・・・


「完全に転生するまでに掛かるの時間は百年・・・もう二十年過ぎたから、

 後八十年・・・」


英二は其処で一旦言葉を切り

悲しそうに俯いた


「だけど、吸血鬼にとって百年なんてあっという間。現に俺も、眠ってる間に

 二十年が過ぎちゃったんだから・・・・」


俺は何も言うことが出来なかった

君を守る為

そして 君の仇を取る為

俺は

生きてきたのに

其処に最大の矛盾が生じてしまった

君の為に

俺は

君を殺さなければならなくなってしまった・・・


「殺して・・・?」


英二は顔を上げ

俺を真正面から見つめながら

そう告げた


「俺が俺じゃなくなるなんて嫌なの。吸血鬼になんて・・・なりたくない。」

「英二・・・・」

「早く殺して!!!!!」


英二は耐えられないといった風に

激しく首を振りながら叫んだ

悲痛な叫び声に

胸が締め付けられる


「出来ない・・・俺にそんなこと、出来る筈がない・・・・」


俺は力なく首を振り

大きく項垂れた

杭を握る手に全く力が入らない

君を殺すことなんて

俺には

出来ない


「手塚にしか出来ないの・・・俺を、助けて・・?」


そう

俺にしか出来ない

わかっていた筈だ

この部屋の扉を開けるまでは

棺桶を開け

君と対面するまでは

彼の吸血鬼を殺せるのは

俺しかいないということを


「ねぇ・・・お願い・・・っ」


俺は目を瞑り

深く息を吸い込んだ

残酷な神よ

今更願ったところで

叶えて貰えるかはわからないが


「英二・・・守ってやれなくて、すまなかった・・・」

「手塚・・・・」

「もう・・・終わりにしよう。」


俺は右手に杭を握り締め

それを英二の喉に押し当てた

先端の当たったところから

血が滲み出している

それだけでも十分痛い筈だが

英二は未だ微笑みを崩さずにいた


「最後のお願い・・・俺が死んだ後、手塚のつけてる十字架を俺と一緒に葬って・・・?

 お父さんの、形見だから・・」

「・・・・わかった。」


一つだけでいい

もしも

もしも願いを叶えてくれると言うのなら


「さようなら、手塚・・・永遠に愛している・・・」


君だけは幸せであるように

永遠に

光の中にあるように

もしも生まれ変わることがあったなら

迷わずに

俺は君を抱きしめよう

どんな姿に変わっても


「嗚呼・・・・さようなら、英二・・・・」


俺は胸の十字を外し

英二の胸元で組まれた手の上に

そっと置いてやった

さようなら

愛しい君

もう二度と戻らぬ

眩しい日々











俺は両手を振り上げ

躊躇わずに

英二が纏っている

白いドレスの胸元に

鋭く尖るその杭を

思い切り突き立てた











・・・と思ったが


「え・・・・?」

「・・・残念でした。」


英二は胸の十字架でそれを受け止めると

残忍な微笑を

俺の方に向けた


「英、二・・・?」


何だか様子が可笑しい


「英二は今いないよ。」


そう告げながら

彼は自分のこめかみを

トントンと二回ノックしてみせる


「ちょっとお留守なもんでね?」


そうか

こいつは・・・

そう思った時にはもう遅かった

彼は物凄い力で俺を捕らえると

その侭床に捩じ伏せ

俺の上に圧し掛かって来た

体勢が逆転する

圧迫された腕と

腹の辺りに鈍痛が走る


「・・・・っ」

「あ〜ぁ、人間てのはホント騙され易い生き物だよなぁ・・・」


彼はそう言いながら

俺の額の髪を

そっと指で掻き上げた


「知ってたか?英二の父親も、こうやって殺されたんだぜ?」


背筋が凍りつく

喉がカラカラに渇いていて

言葉が出てこようとしない

声が出ないのだ

金魚のように

唯口をぱくぱくとさせているだけの俺を見ると

彼は楽しげに笑い声をたてた


「いいか、今までの話なんてぜ〜んぶ真っ赤なウ・ソ!!

 本当は、俺はずっと前から英二の中に居たんだよ。

 英二の自我が目覚めるもっと前・・・まだほんの幼い頃からな。」

「そ・・・んな・・・・っ」

「英二がそれに気付いたのは二十年前・・・そう、俺が英二の父親を殺した時だよ。」


英二の父の死

あの日見たその亡骸

そして

英二の絶叫


「ハハハ・・・どんな顔してたと思う?英二が正気に戻って、

 自分の父親の屍骸を見た時は・・・!!!」


嗚呼

なんて残酷なことをするんだ

英二は

英二は・・・


「英二がお前の傍に居られなくなったのはそのせいさ。

 眠ってる間に、俺がお前を殺すかもしれないからな。」


彼は俺の首元に指を這わせながら

充血しきった

真っ赤な血のような瞳で

俺を見つめた


「折角英二は親切にお前に教えてくれたのになぁ・・・吸血鬼は信じちゃいけない。

 俺を探しちゃいけない・・・って。」

「どうして・・・・どうしてお前はこんなことを・・・・」

「どうして?そんなの簡単なことだよ。」


彼は満面の笑みを浮かべると

俺の首筋に

そっと唇を落とした


「英二を・・・俺と同じ闇の住人にする為さ。」


冷たい声だった

何十年も

何百年もの間

荒野の吹き荒ぶ風に煽られ

深海の底で光にも当たらず

じっと

一人孤独を彷徨い続けた

そんな 声だった


「どんな顔するんだろうなぁ・・・俺がお前を殺した後、たった一人で目覚めた英二は・・・」


英二はこいつを恨んでいる

しかし

どうしようもない

英二はこいつで

こいつは英二なのだから

表裏一体

自分を殺さなければ

相手は死なない

だから

英二は頼んだのだ

自分を殺してくれと


「あの時素直に英二を殺していれば・・・英二を苦しめずに済んだのにな。」


噛み締めた唇から

鉄の味がする

俺は何の為に生きてきたのだろう

英二を守る為

たった一人の標的を

この手で殺す為


「さぁ・・・そろそろさよならを言おうか・・・」


その目的を一つも遂げることなく

俺の人生は終わろうとしている


「最も残酷な遣り方でね・・・」


そう言った瞬間

彼の瞳の色が変わった

血のような緋色から

翡翠のような緑へ


「て・・・づか・・・?」


俺は身体から血の気が引いていくのを感じた

なんて奴だ


「英二・・・・っ」

「てづか・・・・?」

「止めろぉぉ―――――――――っ!!!」


その瞬間

英二は大きく目を見開いた

英二にも

これから先起こることがわかったのだろう

そして英二は俺の喉笛に牙を立て

思い切り噛み付いた


「・・・・っ!!!!!」


焼け付くような痛みが俺を襲う

もがき苦しみながらも

俺は最後まで

英二を気遣っていた

英二

俺の愛しい英二

どうか もう泣かないで

英二の唇がようやく離れていく

それと同時に

英二の喉から

切り裂くような叫び声が上がった


「いやあぁぁ――――――――――――っ!!!」




























「お前・・・」

「え?」

「お前、此処でなにをしているんだ?」

「おとーさんをまってるの。」

「こんな時間にか?」

「うんっ」

「そうか・・・」

「おにーちゃんは?」

「俺か、俺は・・・何もしてない。唯、待ってるんだ。」

「なにを?」

「俺と、同じ人が現れることを。」

「おなじ、ひと?」

「嗚呼・・・」

「おとーさんは?おかあさんは?」

「俺にはいない。」

「どうして?」

「どうしてもだ。」

「ふぅん・・・」

「俺はいつでも孤独なんだ・・・闇の中を一人で、彷徨い続ける・・・」

「こ、どく?」

「一人ぼっちってことだ。」

「ひとりじゃないよ」


そう言って

少年は俺に温かい微笑をくれた


「だって・・・おれがいるもん!!!」


何百年も

何千年もの間

たった一つだけ

俺が 望んでいたものだ





嗚呼 やっと手に入れたのだ

彼の愛しい人よ

我と共に

永遠に闇の世界で・・・




























「愛してるよ・・・手塚・・・・」


薄れ行く意識の中で最後に見たものは

彼の最強と呼ばれる吸血鬼に相応しい

残酷なまでにも美しい

彼の静かな微笑だった・・・









END.