2:そう、誓ったんだ。




























「手塚、今イイ?」

「あぁ、どうした?菊丸。」


何でもない日。

誕生日でもなければ、イベントとかでも何でもない週半ばの水曜日。

雪とか雷とか雨とか快晴とか、特別な天気でもない晴れの日。

昼休憩でも放課後でも授業前でも部活中でもない、ただの10分休憩。

手塚の教室に行って、ひょい、と顔を覗かせて手塚を連れだした。


「ん、ちょっと付いて来てよ。」

「あぁ。」


手塚の3歩前を歩きながら、俺は息を整える。

吸って吐いて、吸って吐いて。

大丈夫、大丈夫。

心の準備は昨日の夜散々したし、何日も何日も悩んだ言葉も決定済み。

もしもの為の泣き所も確保した。(アリガト、不二!)

どんな結果になろうと、手塚の前では泣かない。そう自分にも誓った。

大丈夫、大丈夫。

もう一度深呼吸をして、不思議そうに付いて来る手塚を振り返る。

辿り着いた場所は、部室でも特別教室でも屋上でも何でもない、人気のないただの廊下。

気負わさない為に、

気を張らない為に、

わざと普通の日、普通の時間、普通の場所を選んだ。

大丈夫、大丈夫。

自分に言い聞かせながら、手塚を見上げる。


「手塚。」

「なんだ?」


眉間に皺を寄せた不機嫌そうな表情でも、

それがホントは少しの心配を含んでいるってわかるようになった。

大丈夫、大丈夫。

どんな結果になろうと大丈夫なように、今を選んだんだから。

時間に追われて泣くのを我慢出来るように、今を選んだんだから。


「俺、手塚が好きだよ。」


瞬間、手塚の瞳が驚きに見開かれる。

逃げ出したいのをじっと我慢して、手塚の反応を待った。


「……………。」

「……………。」


やばいな、俺。

誓ったんだ。

やばいな、俺。

どんな結果になろうと、泣くのを我慢しようって、今を選んだんだ。


例え、今俺の瞳に映っているのが、照れくさそうな嬉しそうな手塚の笑みだったとしても、


絶対手塚の前では泣かないって、

そう、誓ったんだ。









終。