太陽の光を一心に受けながら、向日葵は太陽を目指す。

届く筈がなくても、上を見上げて、ひたすらに。

合宿の2日目、向日葵畑を見付けた。




























夏。




























「な、手塚。向日葵。」

「あぁ、そうだな。」


愛想がないのはいつも通り。

笑顔がないのもいつも通り。

じゃんけんで負けた俺たちは買い出しに行かされていた。

その、帰り道。


「菊丸は、向日葵みたいだな。」


率先して話す方じゃない手塚の一言に、酷く俺は驚いた。


「俺が、向日葵?」

「あぁ。」


じっと向日葵畑を見つめる手塚がいつもより柔らかい目をしているのが、

眼鏡のレンズ越しにでもわかった。

何だよ。期待しちゃうぞ?


「いい意味だよな?」

「当たり前だろう。」


手塚とこんな風に話すのは、

俺にとってめちゃくちゃ貴重で大事な時間。

だって、俺、手塚が好きなんだよね。


「手塚に褒められるなんて、

 ジャンケン負けたけどラッキー!!」


持っていた買い物袋をぶんぶん降りながら

向日葵を見てこっそりお礼を言った。

みんなのおかげだよん!ありがとう!!ってね。


「菊丸、落とすぞ。」


そんな俺を見かねて、

手塚が落ちそうになっていた俺の袋を直すために

俺の腕を掴んで言った。

なんてことない、ちょっとした接触。

でも、俺は予想外に純情だったらしく。


バサ。


動揺の所為でしっかりと袋を落としてしまった。

うわー……情けねぇ…。


「ゴメン。落としちった。割れ物なかったよな?」


慌てて拾いながら俺が言うと、手塚もしゃがんで手伝ってくれた。

ぁ、スナック菓子。粉々かもなぁ…。

手に取ったそれを見ながらそう思っていると、

手塚もそれを見て少し顔をしかめた。


「それはダメそうだな。」

「うん、みんなに謝んなきゃなぁ。」

「もう一度、買いに行くか?」


手塚の一言に、俺はまた驚いた。

早く帰りたいのだと思っていたから。


「え、ぁ、うん!!行く行く!!」


慌てて返事をする。

まだおさまってない動揺に更に後押しされた俺の顔は、

おそらく真っ赤だろうけど。

歩き出した手塚を追って歩き出した。

その時、


「菊丸、手を掴んだだけでそんなに顔を赤く染めると、

 俺は自惚れてしまうぞ。」


振り返らずに、手塚が言った。

え?それってさ…


「手塚?」

「置いて行くぞ?」


立ち止まった俺に向かって手塚は言う。

その顔が少し赤かったのは、見間違いじゃないよね?


「ま、待って待って!!」

「早く来い。」


さっさと行ってしまおうとする

俺よりも8センチも高い背中に少し笑みを向ける。

そして、どうしても伝えたい言葉と一緒に飛びつくため、

俺は落とした袋と一緒にかけだした。






上を見てひたすらに太陽を目指す、向日葵のように。




















end.