同じ月の下。




























MOON




























『見えるか?』

「うん。そっちも丸い?」

『あぁ。』


空を見上げて、月を仰ぐ夜。

お月見って訳じゃない、普通の満月。


「綺麗だね。」


そう言って俺が笑えば、電話の向こうで手塚が笑った。

手塚が九州に行って数週間。

こうやってたまに、電話越しだけど一緒に月を見上げる。


「手塚。」

『どうした?』


綺麗だね。

俺がもう一度繰り返して言えば、手塚は一度相づちを打った。


『英二。』

「うん?」

『すまないな。』


突然名を呼ばれて、突然謝られる。

何の事かはわかってるから、聞き返すような野暮なことはしない。


「イーからイーから。

 そんなことより、さっさと治して帰って来いよ。」

『あぁ。ありがとう。』


だけどさ。

なぁ、手塚。

そこは、九州なんだよ。


「うぅん。な、手塚。」


月が、綺麗だね。


『あぁ、そうだな。』





お月見じゃない普通の満月の日。

東京の天気は、曇りのち雨。










終。