05:ソファで隣合わせ。




























妙に照れくさいことがある。

もうそんな短い付き合いじゃないし、両家の親にだって認めてもらってる。

更に言えば、俺の戸籍は手塚家に移ってるっていうのに。

少しの距離。

それが、妙に。


「英二。」


その気恥ずかしさが伝染するのか、大抵相手も照れたように俺を呼ぶ。

窺うように見上げれば、頭に掌。

そのまま撫でられるのは、嫌いじゃない。

一度縮めてしまえば何ともなくなるのに、

その少しの距離が、妙に照れくさい。

ソファで、隣り合わせ。

その少し空いた距離が、妙に。

この距離に照れを感じるのは、決まって数ヶ月ぶりに会った時。

テレビで国光を見ない日はないし、

この距離以外、それこそ帰ってきた直後とか、

一緒に取る食事とか、くっついて寝るベッドとか、

それらにはまったくいつも通り出来るだけに、

その姿に照れているわけでもないのだろうけれど。

この少しの距離が、妙に、照れる。

あぁもう、俺、ものすっごい赤い顔してんだろうな、と思いながら、

撫でられる手に意識を集中する。


「おかしな感じがするな。」

「うん。照れる。」


抱き寄せられてしまえば、抱き寄せてしまえば、

その照れは慣れに戻る。

けれど、どこかくすぐったいようなこの距離。

手を伸ばせばたやすく届く、距離。

俺も国光も、何も言わずにその距離を保つ。


ソファで隣り合わせ。

妙に照れた掌が、酷く心地いい。

だからもう少し、このままで。









終。