04:縛られた両腕。




























だんだんと、痺れてくる。

ゆっくり。

ゆっくり。

まるで、伝染するように。

見上げれば、いつもの顔。


「菊丸。」


呼べば、いつもの笑みを返される。

ゆっくりと鈍る、感覚。


「これは、何だ?」


縛られた両腕の先の指先が、だんだんと冷たくなって。

血液が留まっていることを悟る。


「なんだと思う?」


見当もつかない。


「なぁ、手塚。好きだよ。」


繰り返される、言葉。

ゆっくりと彼に狂う、感覚。


「好き。好きだよ。」


指先は白くなり血液が通っていないことを知らせるけれど、

鈍い頭はそれすら感知してくれない。


「あぁ。俺も、好きだ。」

「うん。だから、もうちょっと待っててよ。」


ゆっくりと、指先が、痺れていく。

一体、いつまで待てと言うのか。

このままでは…


「菊丸。」

「何?」

「俺を殺したいのか?」


聞くと、菊丸は不思議そうに俺を見上げた。


「んなわけないじゃん。何で?」


心底不思議そうな菊丸の目の前に、

先が真っ白な両手を挙げて示す。





ギョ、と、焦ったように菊丸の目が見開いた。





「お馬鹿手塚!何でもっと前に言わないんだよ!!!」

「いや、お前は気付いて放っているのだと思った。」

「気付いてたらとっくにほどいてるよ!

 毛糸で手腐ったとか、間抜けすぎて笑えないよーーー!!!」


菊丸は焦ったように、俺の両腕を縛る毛糸を賢明にほどく。

絡まないように、と俺の腕に巻いた菊丸の使う毛糸。

思いの外菊丸の力が強く、俺の手の血が止まるほどきつかったらしい。

程なくして毛糸の全てとかれた腕を見ながら、

血が通っていく不思議な感覚を味わった。

ともかく、これだけは言っておこう。


「その毛糸でマフラーを作ることだけはやめてくれ。」









終。