違和感に覗いてみれば、ココロの穴は綺麗に元通りに戻っていて、

菊丸は俺の掌を取って、階段へと促した。




























一段飛ばし。




























引き寄せて抱きしめれば背に腕がまわった。

背伸びをして、菊丸の唇が俺のそれに触れる。


「お前を、抱きたい。」

「…うん。」


今日だけは、部誌を書いていないことも許して欲しいと思う。

服を着せ直して手をつないで、互いに家に連絡を入れて、部室の鍵を閉めて家へと急いだ。

親への挨拶もそこそこに部屋に入れて、重いバッグを床に放る。

ベッドへ菊丸を押し倒すと、少し驚いたように菊丸は目を見開いた。

そんな瞳に、唇を寄せる。


「手塚。」


嬉しそうに目を細めた菊丸の頬を一度撫でると、菊丸は顔を横に向けて俺の掌に唇を寄せた。


「前、抱いてもらった時さ…」


菊丸の学ランのボタンを外している俺を照れくさそうに見ながら菊丸は言葉を紡ぐ。


「手塚の手、震えててさ。

 そん時はなんでかわかんなかったんだけど、すっげ、嬉しかったんだ。」


学ランのボタンを外し終わってシャツのボタンを外している俺の手をちらりと見て、

菊丸は瞳を閉じた。

閉じられた瞼を一度撫で、頬に唇をおとして身体を起こす。


「脱いでもらって構わないか?」

「うん。手塚も脱げよ。」

「あぁ。」


ボタンは外し終わっていたのですぐにするり、と出てきた菊丸の肌に、さっき付けた赤い痕が点在していた。

そこにキスをすると、菊丸はさっさと脱げ!と唇をとがらせる。

それに小さく笑みを返して、着ていたものを床に投げた。

何も身に纏っていない肌に触れるシーツの感触がくすぐったくて少し困る。


「俺ね、手塚。」

「どうした?」


何も纏わず座って俺を見上げている菊丸を見やれば、菊丸はちゅ、と軽い音をたてて俺にキスをした。


「ずっと、だったみたい。」


気まぐれのキスだって、本当は。

そう言った菊丸をもう一度押し倒して、触れるだけのキスをした。

何度も、何度も。


きっかけは、ただの興味と好奇心。


「すっげ、嬉し…。」


それと、君。


涙に潤んだ目が心底嬉しそうに細められて呟かれる言葉。

なんか泣いてばっか、今日。

情けなさそうに呟かれた言葉に、耳元で小さく言葉を呟けば、

少し顔を赤くさせて、そういやムッツリだったな、お前。と菊丸は顔を背けた。


「こちらを向いてくれ。」

「…ん。」


額に触れて促せば素直に従う。

啄むようなキスを繰り返して、少し開いた隙間に舌を入れて菊丸の舌を掬った。

深くなって行く口付けに、菊丸に身体が時々ぴくりと反応を返す。

口付けはそのままに掌を動かせば、菊丸の反応は少しずつ大きくなっていった。

唇を離して首筋に舌を這わせれば、菊丸の身体が跳ねて小さく声を上げる。

胸の飾りに触れれば、眉間にしわを寄せ、必死に快楽に耐えようとした。

菊丸の自身に触れれば、俺の首にしがみついて。


「や、あ、ぁ、ッ、」


一瞬の間の後、悲鳴に近いような声を上げて果て、菊丸はくたりとベッドに沈んだ。

息を乱している菊丸を見やり、掌に放たれたものを少しずつ後ろへ促す。

ビクリ、と過剰なまでに反応が返ってきて、俺は目を細めた。


「菊丸。」

「…なっさけ、ない、顔…。」


指で菊丸の後ろをゆっくりと撫でながら声をかけると、菊丸は息を切らせたまま小さく笑って言う。


「あ、は…も、見たこと、ない、顔…ばっか…。」


そう言ってのばされた指先を唇で撫でた。

後ろを撫でていた指を、なるべく菊丸が痛みを感じないよう、時間をかけて慣らしながら一本ずつ入れていく。

少しずつ、痛みが快楽に変わってくる。

少しずつ、呼吸がまた上がってくる。


「菊丸…。」

「んぁっ…」


名を呼べば、答えるように喘ぎが漏れて。

どうしようもない愛しさに、何度も何度も菊丸に口付けた。

菊丸が指に慣れ、快楽を示す声が上がり出した頃、


「…良いか?」

「…、ん…。」


確認したとはいえ、当然菊丸の中に入れば悲鳴が上がった。


「ぃっ、あ、ぁ…。」


俺では想像もできないほどの痛みを負わせていることに、罪悪感と幸福感を同時に覚える。

ゆっくりと進めながら、必死にしがみついてくる菊丸の耳や首や肩に唇を寄せた。

奥に辿り着いて、菊丸が慣れるまで待ってやる。

痛みをやり過ごそうと繰り返す呼吸は酷く荒い。

手首に残っている痣にキスをおとすと、辛そうにだが少し笑みをこぼした。

色々な場所にキスを落としながら菊丸に触れてやる。

少しでも早く、痛みが和らぐように。

暫く荒い呼吸を繰り返して、菊丸は一度小さく頷いた。


「…は、あ…ん、ぅんっ…」


もう一度、と願った熱に、眩暈を覚える。

熱を感じる度に冷えていったあの時とは違う。

どれだけ求めても足りないような、

けれど、熱を上げすぎてのぼせてしまいそうな、そんな感覚。


「てづ、ん、ぁ、手塚ぁ…!!」

「菊丸…。」


快楽を促すように何度も何度も温度を感じて。


「も、…て、づか…」


限界を訴える菊丸に口付けをして、熱を解放するようその身体を強く抱いた。




























ぐったりとベッドに突っ伏している菊丸の髪を撫でながら、暖かな体温に目を細める。

俺を見上げて、菊丸はゆっくりと髪を撫でている俺の手に触れた。


「びっくりした。」

「…何がだ?」

「全然、違った。好きだって、気付いただけなのに。

 手塚もそうなんだって、知っただけなのに。」

「…あぁ。」


俺が感じていたことと同じようなことを、菊丸も感じていたらしい。

頷いてみせると菊丸はふふ、と笑った。


「手、震えてなかった。」

「不思議と緊張はしなかったからな。」

「…愛されてない?」

「逆だろう。」


触れることを許されたことに、安心したんだ。

言うと、菊丸は顔をぐにゃりと歪めた。

泣かせすぎだ、アホ。

そう言って。









続く→





逃げに逃げまくった結果、何がなんだかわからない感じになりました。
難しい…。まぁ、かるーく流す感じでお願いします。
エロいらなかったかなぁ…とも思いますが、
前の時との比較がしたかったのでお許し下さい。(滝汗)