昼休み。




























「手塚はさぁ、一緒のクラスになりたかったーとか、思わない?」


突然の質問にも大分慣れてきた交際2ヶ月目。

久しぶりに時間があった昼休みに、

俺は菊丸と人気のない屋上で昼食を取っていた。

大分慣れたとはいえ、質問の内容に少し驚く。


「どういう意味だ?」

「そのまんま。

 俺、手塚と同じクラスになりたかったなーって思って。」

「今更言っても仕方がないだろう?」


俺がそういうと、少し不満げに菊丸は口を尖らせた。

「それでも、思わずにはいられないの!!」

そう言ってぷいっと、俺とは反対の方向を向く。


「菊丸。」

「どうせ、しょうもないとか思ってんだろ。」

「いや、違う。菊丸。」

「二人っきりなのに、名字で呼ぶなー!!!」


二人きりとは言え、学校内なんだが、わかっているのだろうか?

一つため息を落とす。


「……英二。」

「なにさ。」


名前で呼ぶと、少し機嫌が直ったのか顔だけ俺の方に向く。

もう一度、ため息。


「ごめん。わがまま言い過ぎた…?」


ため息を聞きつけて、俺の方に向き直して俯いた。

しゅんと、目に見えて落ち込んでいる。


「違う。ちゃんと俺の話を聞け。」

「何…?」


少し不安そうに、俺を見上げる。

思わず頬が緩みそうになるのを我慢して、菊丸の赤茶の髪に掌を乗せた。


「俺は、クラスが違って良かったと思っている。」


その一言に、菊丸は明らかな落胆とショックを顔に乗せた。


「それって…俺が嫌いってこと…?」


大きな瞳が、見る見るうちに水分で満たされていく。


「俺とお前が同じクラスだったら、

 俺はお前が気になって授業どころじゃないからな。」


その一言に、菊丸は明らかな驚きと喜びを顔に乗せた。


「それって…俺が大好きって事だよね!?」


さっきまでの暗い表情は何処へやら。

少し顔を赤くして嬉しそうにはしゃいでいる。


「好きなようにとればいい。」

「へへーっ!!そうする!!」


赤茶の髪に乗せた掌をゆっくりと動かすと、

気持ちよさそうに目を閉じた。


「手塚、大好きー!!」

「あぁ。」

「手塚も?」

「そうだな。」


今度は緩む頬を我慢せず、髪を撫でる手も止めない。


「わっ!!手塚の笑顔、久しぶり!!」


嬉しそうに、笑っている。


「そうか?」

「そーそー!!貴重な体験!!」

「英二。」


名前を呼ぶと、さっきと違って

くすぐったそうに、幸せそうに微笑む。

それはきっと、俺しか知らない菊丸英二。

いつも楽しそうにしている時とは全然違う、酷く綺麗な表情。


「俺も、お前が好きだ。」


俺が告げた言葉に、頬を真っ赤に染めて

さっきよりも綺麗な笑顔。





久しぶりに時間が合った昼休み、

クラスも委員も授業も全然違う 大事な恋人と過ごす。

とびっきりの昼休み。









end.




*コメント*
 正真正銘、初めて書いた塚菊小説です。
 メールの整理をしてて発見したので、さらしモノの刑に処してみました。
 でも、流石に恥ずかしすぎて英二の使っていた猫語は撤収。
 明らかに、塚も菊も性格が違います。特に菊。
 あんなに可愛げあったのに、今は片鱗すらない感じです。…めそり。
 そして昔は塚の笑顔は貴重設定だったらしい。今はだだ漏れですが。(笑)
 貧乏性の茶瓜を笑ってやって下さい。お目汚し、失礼しました。