ひらひらと、紅葉があたりを赤く染めている。

その紅葉のように赤い顔をして、彼は俺に「好きだ」と言った。




























秋。




























「菊丸。」

「言っとくけど、友達として、じゃないからな?」


そんなに顔を赤くさせていれば

気付かないはずがないと思いつつ、

俺は一度頷く。


「あぁ。」

「返事、くんない?」


俺よりも背が8センチ低い菊丸は、俺を見上げるように

俺の瞳を眼鏡越しにじっと見た。

まるでテニスをしているときのように、真剣な瞳。

違うのは、紅葉のように真っ赤に染まった頬と、

真剣がゆえに潤んだ瞳。


「俺は、」


返事をしようとして、止まる。

菊丸の髪に紅葉がくっついているのを見付けたからだ。


「…手塚。」


言葉を止めた俺に、菊丸は焦ったように返事を促した。

それでも、俺は赤茶の髪に引っかかった紅葉が気になって。

それが髪飾りのように見えて仕方なくて。

じっと俺を見つめ続けている菊丸の髪に、そっと手を伸ばした。


「てづ、か?」


突然伸びてきた俺の手に驚いて菊丸は身を引く。

俺はそれを見て取り終えた紅葉を菊丸に見せ、

思わず漏れた笑みと共に


「俺もお前が好きだ。菊丸。」


そう、答えを返した。

紅葉を菊丸の掌に乗せると、菊丸はくしゃりと

泣き笑いのような笑みを浮かべる。

それは、俺が今まで一度も見たことのない表情で。


「手塚大好き!!!」


そう言って抱き付いてきた菊丸を支えてやるので

精一杯になる程動揺していたのは、

大切な彼にも言えない事。






ひらひらとあたりを赤く染めている紅葉と同じ位に、赤い頬。

でもおそらく同じ位に俺も赤いのだろう。

そう思った、ある秋の日。




















end.