「手塚ぁぁぁぁぁーーーーっっ!!!!!!」

「菊丸っっ!!!!!」


お互いに手を伸ばしあって、それはまるで引き裂かれてゆく恋人達のよう。

…いや、あながち間違いじゃないか。

そこまで考えて、ボクは痛む頭に手を当てた。




























茶葉蛋。




























「不二!!菊丸が!!!」

「ハイハイ、いちいち心配しない。迎えに行けばいいでしょ。」


焦ったようにボクを振り返った手塚に、

呆れから来るため息をひとつ付いて英二が流されて行った方向に歩き出す。

ホントさぁ、いい加減疲れるんだけど。

…何回目?

そう、これが初めてじゃないんだよね。


「英二も大変だなー。」


手塚の横で大石が苦笑してる。

修学旅行in台湾の最終日。

自由観光って事でボクと英二と手塚と大石は一緒に観光してたんだけど…

台北の人混みって本当に凄い。

信号が赤でも普通に渡ってるし(手塚が凄く怒ってたけど)

広い道路はスクーターの数が尋常じゃないし、

せっまい路地には人がごった返してて進もうとすれば押し返される始末。

そんな波に英二がのまれないはずがなくて、これで何回目?って位流されては救出に行く。

それだけならしょうがないなーって思うんだけど、

手塚がその度に本気で心配するからうざったいことこの上ないんだよね。


「不二。そういうことは思うだけにしろ。」

「聞こえなきゃ意味ないじゃない。まったく、鬼部長が聞いて呆れるよ。」

「…心配して何が悪い。」

「ハイハイ、ご馳走様ー!!」


そう言って話を終わらせて足早に英二のもとへ行く。

人の波をかき分けるように歩いて暫くして、人の波から少し外れたところでうずくまっている英二を見つけた。


「英二、大丈夫?」

「にゅあー…なんとか。ゴメンなー。」

「ううん、構わないよ。」


にこりと笑ってボクが言えば、英二は安心したように笑ってみせる。

手を差し伸べて立たせあげると丁度手塚と大石が到着した。


「あ、手塚に大石。何度も何度もホントゴメンなー?」

「いやいや。英二も大変だな。」

「なー?俺、日本のが好き。」


そこまで言うと、英二は手塚に向き直る。


「手塚も。毎回心配かけてゴメンな?」

「いや。お前が無事ならそれで良い。」

「手塚…。」


英二のバックに“ジーン”って文字が見えるよ、ボク…。

呆れから来るため息をもう一度付いて、しょうがないから一つ提案。


「そんなに心配なんだったら、手塚がちゃんと英二を捕まえておけばいいでしょ?

 手でもつないでれば?」


ボクの言葉を聞いた途端、二人は(手塚はかすかに)顔を赤くさせた。

なに、その無駄なくらい初々しい反応。

確か二人って付き合って2ヶ月は経ってたよね?


「にゃ、な、何言ってんだよ、不二ぃぃ!!手をつなぐなんて、そんな…。」

「お前さえよければ、俺は構わないが…。」

「え!?や、でも…。」


もじもじとしている英二の手を、手塚がぎゅっと握る。

あーもうさ、今時こんなの少女漫画でもやらないよ。

見てる方がイライラしてくる感じ。


「手塚!?」

「ほら、目当てのものがあるんだろう?」


ちょっと困ったような目で手塚を見る英二に、手塚はぶっきらぼうにそう言った。


「…うんっ!!」


途端に英二は嬉しそうに笑う。

ホント、バカップル…。


「英二、目当てのものって…?」


もうこれ以上ラブラブなオーラにあたっていられないと思っていたら、

苦笑していた大石からの神の一声。

ナイス、大石。

英二は嬉しそうに大石の方を向いて言った。


「ゆで卵!!」


ゆで卵…?

その答えに驚いて、ボクは英二を見やる。

質問をした大石は勿論、手をつないだままの手塚も驚いているみたい。


「あんね、コンビニで売ってるゆで卵がすっごく旨いんだって!!!」


去年先輩達が言ってた!と、英二は楽しそうに笑った。

まぁ、食べ物じゃないかとは思ってたけどね。


「成る程…。」


苦笑を深めた大石が困ったように呟く。


「何処のコンビニでも良いの?セブンでも、サークルKでも?」


そう言ってボクは辺りを見回した。

台湾っていっても、日本のコンビニは結構沢山ある。

ちょっと見渡しただけでもいち、に、さん…。


「うん!らしいよ!!ちぇーいぇーだんってヤツなんだって。」


あぁ、茶葉蛋ね。確かに烏龍茶の味付け卵。そう納得して一番近いコンビニを見やる。

多分流されずにいけそうだと思って大石と手塚を見た。


「良い?」

「俺は構わないよ。」

「あぁ。」


二人とも頷いたのを確認して、英二に視線を戻す。


「だって。良かったね。」

「おう!!」


ボクが英二に向かって報告すると、にへ、と笑って英二は返事をした。

なんとかコンビニまで辿り着いて、ドアを開ける。

手塚に手をつないで貰ったままの英二は随分とご機嫌みたい。

ふわっと香る独特の香りに英二は嬉しそうに駆け寄った。


「コレだよ。コレコレ!!」


手塚と手をつないだままはしゃぐ英二の姿は、何だか笑える。

くすくすと笑っていると英二に不思議そうに、手塚はバツが悪そうにボクを見た。


「じゃあ、4つね。」


なんだか良いもの見せてもらった気がしたから、ここはボクのおごり。

そう思ってさっさと会計をすませる。


「お、不二の奢り?さーんきゅっ!!」

「うん。面白いもの見せてもらったしね。」

「ふーん?」


ボクと英二が会話をしている横で、微妙な表情をした手塚を大石が宥めてた。

ホント、見てて飽きないよ。


「さ、出ようか。食べるんでしょ?」

「おー!!」


みんなを促してコンビニの外へ出る。

英二が流されないようにちょっと裏っぽい道を通って集合場所近くの公園のベンチで袋を開けた。

しおりを見ると集合時間までまだ暫くあるから、ゆっくりしても良いかなって話ながら。

すると、


「あれ…?」

「どうしたの?」


英二が袋を見ながら首を傾げたのでボクも覗くと、卵が3つ。

慌ててレシートを見ると、ちゃんと3つって書いてある。

どうやら、注文間違えちゃったみたい。


「あー…ゴメンね。みんなで食べてよ。ボクいいや。」


ボクがそう言って顔を上げると、困った顔をした大石と眉間にしわを寄せた手塚が同時に異論を申し出た。


「不二が払ったんじゃないか。俺は良いから、みんなで食べろよ。」

「払ったのはお前だろう?俺は良いから、3人で食べろ。」


「えー!!せっかく台湾に来たんだから、食べなきゃ駄目だろー!!」


大石と手塚のした提案に異論を申し出たのは英二。

うーんうーんと暫く悩んで、何かを思い付いたのか顔を上げる。

そして、実はまだ繋いだままだった手塚の手を引っ張った。


「手塚、俺と半分コしよ?」


すっごく嬉しそうな笑顔を手塚に向けて言う。

どうやら、“半分コ”がしたいみたいだね、英二は。

手塚は少し面食らったように驚いた後、少し照れたように頷いた。

何、結局バカップルに協力しただけじゃない、ボクの失敗って。

そう思ってため息を付くと、苦笑した大石と目が合った。




























後日、2002年度青春学園中等部入学案内、

修学旅行・参加者の感想より。


「コンビニで売ってたゆで卵が、うまかったな〜。」


これはきっと、手塚と半分コしたからって理由が付いてくると思うんだよね。

今回の修学旅行で学んだことといえば、バカップルには近づくべからずって事かな?









end.













+言い訳+

1000番キリリクで、「修学旅行でラブラブな塚菊」でした!!

まんぼう様、リクエストありがとうございました〜!!

…どこが、修学旅行なのでしょうか?茶葉蛋ってとこ…?(汗)

お待たせしたうえにこんなしょぼいブツですみませんっっ!!!!

あぁぁぁぁぁ…ただのラブラブバカップルです!!!山も意味もオチもありませんっっ!!

ほんっとうにすみません!!!

異論を申し立てていただければ書き直させていただきますので…!!

どうぞ、見放さないで頂ければ嬉しいです…!!!!

リクエスト、本当に有り難うございました!!!!!


2004-10-25 茶瓜。